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自由・平等・友愛~内田樹,マイケル・サンデル

カテゴリー:ステキな本たち、とか

自由・平等・友愛

フランス共和国の標語なんだそうです。

その起源は、フランス革命にあり、革命期のスローガンのひとつでしたが、19世紀末に公式に国の標語になったとか(Wikipediaより)
なぜそんなことを突然言い出したかと言いますと、きっかけは、こちらの本を読んだからです。
『実力も運のうち 能力主義は正義か?』(マイケル・サンデル)
あの『これからの「正義」の話をしよう』のハーバード大学のマイケル・サンデル教授が、いま世界に拡がっている「能力主義」の是非について語っている本です。

それほど分厚くない文庫本なのですが、読み終わるのにやたらと時間がかかってしまいました。
その理由は、おそらく、サンデル教授の立ち位置といいますか、論点といいますか、それを私が理解できていなかったことにあると思います。
理解できなかったというより、私の理解の範疇になかった、といったほうが近いかも。

教授はまず、身分が固定された階級社会から、本人の能力次第でなんとかできる余地のある能力主義への変遷をたどり、その功罪の両方を、様々な論者の主張を交えて考察します。
能力さえあれば成功して、お金もたくさん稼げるという世の中の仕組みは、正しいのか?ということが一つの論点です。

ここで、私がわからなくなってしまったのが、
「たまたま世の中で求められているものを提供できる人がたくさんのお金を稼ぎ、さらにそれを提供できる人が少なければ少ないほど、よりたくさんのお金を稼げる」っていうのが資本主義なんだから、正しいも正しくないもないよね、
というところです。
麻薬の売人の元締めと、高校教師とを比べたときに、前者の方がお金を莫大に稼げるのは正しいのか、というようなお話が出てきましたが、麻薬の売人の元締めは、法的にも正しくないに決まっています。が、莫大にお金を稼げるかどうかは、需要と供給のバランスの問題であり、正しいか正しくないかの議論とは全く別の問題。これらを一緒くたにすると、わけがわからなくなる。

では、サンデル教授はなぜにこんな議論をしているのでしょう。
この本のなかでも、その問いに対する一定の回答は得られたのですが、「そうか!」と腑に落ちまくったのは、そのあとに読んだ『街場の米中論』(内田樹)のおかげでした。

内田先生によれば、アメリカ合衆国という国は、建国時から「自由と平等」という両立し得ない概念を抱えています。その微妙なバランスを保ちつつ、あちらに傾き、今度はこちらに傾き。。。。
サンデル教授が著書の中で展開していたのは、まさにこの「自由か平等か」の議論だったのですね。「自由(=能力主義)」 が重要視され過ぎるために、平等が失われることはよいのか、という議論。「自由」にバランスが傾きすぎることを阻止するために、「それは正しいのか」という正義の概念を持ち出してきているという構図です。

で。
結論としては。

この点も、内田先生が明確に書いてくださっています。
「自由と平等」という2つの相反する要素だけだと、ちょうどよく折り合う、ということは不可能。が、そこに「友愛」という概念を加えれば、折り合う道を見つけ出すことができる。
そして、それこそがフランス革命のスローガンなんです。

200年前のスローガンが、いまだ議論の対象になっているということは、それが基本的な重要概念であることを示すと同時に、まだ達成されていないということでもあるかと思います。
日本では、昔から、近江商人の「三方よし」が示すように、「友愛」(利他)の概念が重要でした。近年、それが失われているのではないかと思うこともありますが、今一度、まずは自分自身から、友愛を意識していきたいなと思います。草の根運動(^_-)-☆

ところで、国に標語があるということを今回初めて知りました。Wikipediaでいろいろな国の標語を見てみたら、、、、、非常に興味深いです♪

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