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『愛するということ』エーリッヒ・フロム

カテゴリー:ステキな本たち、とか

 

今日ご紹介するのは、心理学者エーリッヒ・フロムの『愛するということ』です。


愛とはなにか。
人間の根源的な問いの一つともいうべきその命題に、フロムがひとつの答えを示してくれています。


愛とは、成熟した生産能力であり、生まれながらに愛することができるひとはいない。
現代社会(西洋社会)の中では、「友愛・母性愛・恋愛を問わず、愛が比較的まれにしか見られず、さまざまな偽りの愛に取って代わられ」ている、「この偽りの愛こそ、愛の崩壊のあらわれにほかならない」とフロムはいいます。
そして、「どうしたら人を愛せるか」という「愛の技術の修練」へのアプローチを示してくれています。


この本の中で、フロムが「偽りの愛」として挙げている形は、わたし(たち)が日常的に「愛である」と認識しているものばかり。
しかし、「愛である」と信じているその形たちは、いずれなんらかの不具合を起こし、満足のいく結果にならなかったり、こんなものだよねという状況で落ち着いてしまっているケースがほとんどのような気がします。
個人的な話になりますが、わたし自身、「パートナーシップになにを求めますか?」と問われたとき、承認欲求や「さみしさを埋めたい」「誰かに頼りたい」「愛されたい」という諸々のよぶんな欲求を外して眺めてみると、いったいそこに何が残っているんだろう、と戸惑っていたところでした。そんなときに、この本を読んで、ぴかーんっとその答えを見いだせたのでした。


「ふたりの人間が自分たちの存在の中心と中心で意志を通じ合うとき、すなわち、それぞれが自分の存在の中心において自分自身を経験するとき、はじめて愛が生まれる。この『中心における経験』のなかにしか、人間の現実はない。人間の生はそこにしかない。したがって愛の基盤もそこにしかない」


おそらく、読む人が、そのときに「愛」をどのように経験しているか、とらえているか、によって、この本のどこが響くか、というのは違ってくると思います。
わたしの友人のひとりは、30年たって再読してみたら「こんなことが書いてあったんだ!」と驚いたそうです。
詩人の谷川俊太郎さんも、本の帯でこんなふうに書かれています。
「(略)再読してフロムの言葉が大変具体的に胸に響いてくるのに驚いた。読む者の人生経験が深まるにつれて、この本は真価を発揮すると思う」


この本のことを教えてくれた心理学科時代の友人に、心から感謝しています♡

(これでも、わたし、心理学科卒ですので、少しは他のフロムの本も読もうかな(^^♪)

 

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